ルーマ・ヘルス社は、医師と患者のコミュニケーション最適化を目指すデジタルヘルスプラットフォーム提供企業です。ルーマ・ヘルス社の Total Patient Engagement™ プラットフォームを使用することで、医療機関やそのスタッフは、従来のスケジュール管理の煩わしさを軽減しながら、患者の受け入れフォームから診察後のフィードバックの収集まで、最新のモバイルソリューションを効果的に活用して患者とコミュニケーションをとることを実現しています。
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Sisenseを活用したプラットフォームを導入した医療機関は、患者体験の向上だけでなくこのプラットフォームで収集された指標を活用して、プロセスを最適化するためのベストプラクティスを特定することができるようになりました。またキャンセルを79%削減し、平均NPSスコア(顧客ロイヤリティー)を89%向上させるなどの成果を上げています。
Sisenseの長年の顧客である共同設立者兼CTOのAditya Bansod氏とビジネスオペレーション・戦略担当ディレクターのHumair Burney氏は、製品開発や業務のワークフローにおけるデータの重要性を常に強く認識しています。
2020年COVID-19発生以降ルーマ・ヘルス社のデータサイエンスチームは、危機を乗り切るために必要な分析能力を備えていました。チームは、患者と医療従事者のコミュニケーションのパターンを特定し、COVID-19がもたらすユニークな課題に対応する医療従事者向けにメッセージを迅速に作成し、スクリーニングソリューションを患者に効果的に伝えることができました。
ルーマ・ヘルス社は、テクノロジーを利用して患者の体験を向上させ、医療機関とのやり取りを円滑にすることを目的としたヘルスケア関連の新興企業であり、高度な統計や分析技術を適用して日常的な疑問に答えることでバリュー提供しています。初期の成功例として、ルーマ・ヘルス社のビジネス・オペレーション・チームは、メッセージデータをワードクラウドで分析しました。
これにより、聞き取りやすくなり、新しい行動が明らかになり、製品チームはデータに基づいた改善を行うことができるようになりました。
こうした理念とインフラの整備により、2020年初頭にCOVID-19が医療現場に登場した際にも、対応できる体制が整っていました。COVID-19は、患者ケアのエコシステムにこれまでにない課題をもたらしましたが、ルーマ・ヘルス社は、機械学習とAIを使って、患者が予約時間までクリニックの駐車場で安全に車に乗っていられるようにするにはどうしたらよいかなど、プロバイダーコミュニティから報告されていた前例のない重大な問題に対処する大きな機会を得ました。
ルーマ・ヘルス社が最初に認識した課題の1つは、患者が専門医や紹介された医師とのアポイントメントを取る際ことが困難になったというものでした。
多くの医療機関では、スタッフがスケジュール管理や患者の電話対応を手作業で行っています。しかし、COVID-19にまつわる健康上の懸念から、身元不明の電話やロボットコールが急増し、スケジュールが組めなくなったり、予告なしにキャンセルされることが多くなったため、これらの作業はほとんど不可能になっていました。その結果最重要課題として緊急性の高い医療機関と患者のコミュニケーションを向上させることを設定し問題に取り組みました。
またこれらの問題は、特に高齢者に影響を与えました。高齢者は医療費を大量に消費する傾向があり、COVID-19に感染する危険性が最も高いグループに属しているからです。ルーマ・ヘルス社は、COVID-19による非常事態宣言した最初の米国主要都市であるサンフランシスコを拠点としており、チームは、健康への影響が短期間で終わるものではなく、また特定の地域に限定されるものでもないことを示唆する初期の予測を最前線で確認することができました。
ルーマ・ヘルス社のビジネスオペレーションのリーダーたちは、すぐに特別チームを招集し、COVID-19が患者エンゲージメントにとってどのような意味を持つのか、独自のデータドリブンなサービスと、医療機関に近いという利点を生かして、どのような対応ができるのかを考えました。
ここでSisenseに搭載されているテキスト分析機能を活用し医療機関と患者の1000万人以上の膨大なやり取りをデータ化し分析することで、製品の評価基準を全面的に見直し、技術革新を利用してオペレーション全体をよりサポートするポイントを特定することができました。その後詳細に分析を続けスケジュール管理、カルテ管理、患者の行動などのデータから、重要で実用的な改善方法を効率的に発見することができました。
例えば、「COVID」「fever」「virus」などの単語を含むメッセージが急増していました。これは医療従事者や患者は、当初から ルーマ・ヘルス社のプラットフォームを使用してコミュニケーションを図り、新たに発生した危機について賢明な健康上の判断を下そうとしていたので、「COVID」が驚くほど頻繁に現れたのは当然のことでした。
さらに、米国の様々な州や医療の専門分野で予約のキャンセルが急増していることを受けて、医療の混乱を最小限に抑えるためにデジタルコミュニケーションに重点を置き、それぞれのセグメントに適したソリューションを提供することにしました。
COVIDという言葉が広く知られるようになったことを受けて、「COVID-19」に関連した患者と医療者間のコミュニケーションを支援する一括放送システムをリリースしました。このような不確実性の高い状況下では、皆が協力して助け合わなければならないと考え、この新しいシステムを顧客であるかどうかに関わらず、プラットフォームを必要とするすべての人に無料で提供しました。
Sisenseを使用してデータを分析した結果、医療機関が患者に連絡を取るのに最も適した方法がSMSテキストメッセージであることを示唆するデータを発見しました。
その中でも、医師の予約に関する詳細を患者に伝えるには、機械音声メッセージよりもSMSの方がはるかに効果的であることが分かりました。これらの調査結果を医療機関に伝え、COVIDの感染、予防、感染拡大の回避について深刻な懸念を抱いている患者へのエンゲージメント戦略を進化させるために、新たな価値を提供できるのではないかと考えました。
メッセージを送った患者さんの反応を利用して、医療機関システムのスケジュールを自動的に変更することができるようにシステムを作り変えた結果、システム全体の効率化が図られ、医療機関のスタッフはSMSでの応答対応などの自動化が進み、属人的な業務からの脱却を図ることができるようになりました。
ルーマ・ヘルス社が新しいサービスを効果的に展開できたのは、すべての業務データがAmazon RedshiftとSisenseの組み合わせで運用を行ったことで仮説検証の柔軟性とスピードが向上したためっ可能になりました。これにより、エンジニアリング以外の様々なチームメンバーが、単純なスポット分析から複雑な統計処理を活用した高度な分析まで非常にスムーズに行える環境を構築できていました。
膨大なデータでも1時間ごとにアップデートがかかるのでデータが一元化され、正確なクエリが高速に実行されるため、正確な答えを得ることができます。AmazonのRedshiftは柔軟性が高いだけでなく、PostgreSQLよりも高速に動作します。
ルーマ・ヘルス社のコアデータは、MongoDB Atlas、Redis、およびRabbitMQに保管されています。分析ワークロードをライブで実行するために、データチームはAWS Data Migration Services(DMS)を活用し、MongoDBデータセットをRedshiftにロードするだけでなく、AWS DMSのChange Data Captureを使用してRedshift内のデータをライブで維持しています。
COVID-19の課題によりよく対応するためには、毎日バッチ処理で更新されるETLツールでは不十分でした。パンデミックの最中、状況は刻々と変化するため、分析の時間軸を数ヶ月から数時間に短縮する必要があったので、DMSを使用してパイプラインをライブに保ちました。有事の際にはリアルタイムデータはバッチデータよりも何十倍も価値があります。SisenseをRedshiftに直接接続することで、データチームは増え続けるデータに素早くアクセスし、SQL、R、Pythonなどの好みの言語を使ってリアルタイムデータの分析を1つのアプリケーションで実現しました。
インサイトからアクションへ
その後ルーマ・ヘルス社は、デジタルヘルスの分野で新興企業から業界のリーダーへと急速に発展しました。分析プラットフォームにはSisense、クラウドにはAWSを採用しており、数週間でタイムリーな製品をリリースすることができています。最近のCOVID関連のサービスについても、構想からわずか3週間でコミュニティにリリースしました。
"危機的な状況下では、人々は洞察力を必要とします。ルーマ・ヘルス社のチームは、COVID-19で発生した患者の行動の予測不可能な変動をSisense活用して分析、認識、対処し、洞察力を活用して、良い方向へのイノベーションの波を起こすことができました。"
※本記事は、「Luma Health Leverages Sisense and Amazon Redshift to Address COVID-19」を翻訳・加筆修正したものです。