「Infused Analytics」全く新しい第三世代BIツール
AIへの支出は4年間で倍増し、2020年の500億ドル強から2024年には1,100億ドルという驚異的な規模に成長すると予測されています。アナリスト企業のIDCによると、AIに最も多くの費用をかけることになる業界は小売業です。実際、小売業におけるAIの世界市場規模は、2027年には233億2,000万ドルという巨大な規模に達すると予想されています。
"IDCのAI担当プログラムバイスプレジデントであるRitu Jyotiは、「企業は、AIを導入できるからではなく、導入しなければならないから導入する」と述べています。"AIは、ビジネスの迅速化、イノベーション、スケールアップを支援するテクノロジーです。AIを搭載する企業は、AIを使ってデータを情報に変換し、さらに知識に変換することで情報を正しいアクションへ繋げることが出来ます。そして、AIが意思決定と自動化をサポートすることで大規模にインサイトを提供する能力を持つようになります。" と述べています。
特に小売業者にとって、AIは3つの重要な分野で革命的な効果を発揮するでしょう。意思決定の質とスピードの向上、カスタマーエクスペリエンスの向上、オペレーションの効率化です。
COVID-19のパンデミックは、購買行動が一夜にして変化することを証明しました。これは、急変に対応できない小売企業にとって大きな意味を持ちます。例えば、市場調査会社のNielsenIQによると、パンデミックが発生した当初、米国の消費者が食料品を買い込んだことによりスーパーマーケットでは在庫切れの問題が発生し、その年の残りの期間、約30億ドルの売上損失が発生しました。
データ分析会社Exasol社の調査によると、米国の小売企業の87%が、これまで以上に迅速な意思決定を迫られているといいます。Exasolの調査によると、これらの小売企業の71%がこのプレッシャーに対応していると答えており、79%が意思決定サイクルの短縮化がビジネスの新常識になることに同意しています。
これらのことは、小売業のリーダーと店舗従業員が同様に、迅速な洞察力を必要としていることを意味します。実用的な情報を適切な人に適切なタイミングで提供することがより良い意思決定につながり、販売転換率、収益、顧客満足度の向上につながります。そのためにはAIが欠かせません。
だからこそ、プロダクトリーダーは、効果的な購買活動につながるような、リアルタイムで付加価値の高いデータ提供を可能にする小売ビジネス用の分析システムの構築を目指すべきなのです。これらのソリューションは、データを見るだけで誰しもが理解できるものでなければいけません。
"COVID-19の危機は、企業が敏捷性よりも効率性を重視したために、この一世代の間に小売業のオペレーション手法がいかに硬直化したかを明らかにしました"と、Retail Systems Research(RSR)のマネージングパートナーであるBrian Kilcourse氏は説明します。"パンデミックの初期に発生したトイレットペーパーの大不足のような不合理な事態は、おそらく予測できなかったでしょうが、シナリオモデリングの技術があれば、小売企業とその製造パートナーがより迅速に対応できたはずです。また、より優れたリアルタイム分析があれば、小売企業は、いつ、どこで、どのような製品やサービスが必要とされるかをより的確に予測し、パンデミックが市場に浸透していく過程で、それに応じてオペレーション戦略を調整することができたはずです。このような能力は、AIアナリティクスによって可能になります。"
RSRの調査によると、小売業の勝者は消費者の需要の急激な変化に対する反応速度を向上させることに、他の小売業者よりもはるかに関心を持っています。"彼らは、超ローカルなレベルでのオペレーション状況に対応するために、利口なプロセスオートメーションやデジタルアシスタントを求めています"とブライアンは説明します。これは、オペレーターにリアルタイムで "次の最善の行動 "を提案できる分析エンジンを意味しており、"製品リーダーはここにAIの取り組みを集中させるべきです"とブライアンは説明しています。
ラテンアメリカの大手小売企業であるUnisuper社は、AIを活用した強力なデータインサイトで何が実現できるかを示す好例です。UnisuperはWalmartと真っ向勝負するために、Erea Consultingの小売業向けEreaBI Analytics Platformを採用しました。
Sisenseプラットフォーム上に構築されたEreaのソリューションのおかげで、Unisuperはサプライヤーチームに権限を与え、高度な予測モデルを活用することで店舗ごとにSKUレベルで在庫を追跡し、より良い計画を立てることができるようになり、業界でかつてないほどの機動的な在庫配分が可能になりました。在庫をある店舗から別の店舗に移動させると、その店舗では在庫がすぐになくなり、お客様がスーパーマーケットを利用する際に在庫切れになることが少なくなります。
これらのデータは非常に貴重なものです。実際、Unisuperは、わずか5ヵ月後には、サプライヤーとの間で重要な情報の収益化を開始することができました。現在、同社はホワイトラベルのUNIBIプラットフォームを介してサプライヤーにデータを販売することで、20億ドル近くの収益を上げています。
フォレスター社の調査によると、カスタマー・エクスペリエンス(CX)でリードしている企業は、遅れている企業よりも80%近くも効率が良いことがわかっています。CXの向上を目指す企業にとって、データは貴重なものです。データは、顧客のWeb上での動線について多くのことを教えてくれる可能性を秘めており、問題に対処したり、よりパーソナライズされたサービスを提供するために有効な製品の発見や推奨をすることができます。
マッキンゼーによると、顧客分析機能がより成熟していると回答した企業の85%以上が、大きな価値貢献を達成していると答えているのに対し、分析機能の利用率が低い企業では約20%となっています。
一方、アナリティクスに投資した後、顧客維持率とロイヤルティが向上したと答えた企業は約60%に上ります(Harvard Business Review Analytic Services社の調査による)。
CXを向上させる製品を作るということは、可能な限り多くの顧客データを活用するためにあらゆる努力をすることです。このデータには、電子メールの開封率や顧客からのフィードバック、ウェブサイトの訪問頻度、平均消費額、さらにはソーシャルメディアでの行動など、あらゆるものが含まれます。これらのデータは簡単に分析でき、ユーザーにとって意味のある方法で提示されるべきであり、その結果カスタマージャーニーの包括的なイメージを構築するのに役立つ有意義な示唆が得られ、途中離脱の検出やカート放棄の理由を分析することができます。
ブライアンは、今回の調査でそれが裏付けられたと述べ、小売企業向けのAIツールを構築する際には製品チームはあらゆる種類のデータを活用することにもっと重点を置くべきだと主張しました。
"私たちは、小売企業に、意思決定プロセスにおけるパフォーマンスに依存しないデータの重要性を評価してもらいました。小売業の勝者は一貫して他の企業よりもこのデータを重要視しています。これらのデータには市場メトリクス、競合データ、地域の健康情報、地域固有のデータ、人気度、天候などが含まれ、小売業者が利用できる外部の非取引データのリストは増え続けています。これらのデータをAI分析と組み合わせることで、小売企業はオペレーションシナリオのモデル化と、例外的な状況が発生した場合の迅速な対応の両方に役立てることができ、これらは顧客体験に大きな影響を与える要因となります。データが重要視されないと、問題への意識が希薄になり、将来を見据えた計画を立てることができなくなります。"
ブライアンは、小売企業が卓越したカスタマーエクスペリエンスを提供するためには、AIを活用したアナリティクスが基本となるだろうと予測しています。"小売企業は、お客様が買いたいと思う商品を正確に見つけて販売し、その商品を適切な場所に適切なタイミングで配置することが重要であると認識しています。私たちが調査した小売企業の半数は、AIを活用したアナリティクスによって顧客との対話が根本的に変わると確信しています。"
しかし、小売業の勝者は単に消費者の購入までの道筋をよりよく予測できるだけではありません。"彼らは、商品やサプライチェーンの管理、さらには店舗のパフォーマンス評価においても、AIアナリティクスの活用を進めています。" とブライアンは説明します。"だから、これらは製品チームが注力すべき重要な分野なのです。"
サプライチェーンマネジメントや物流の改善により、新たな需要に対応しそれに応じて価格を調整し、その結果として顧客体験を向上させるために必要となる実用的な洞察力を持つことは、収益に大きな影響を与えます。
なぜなら、これらの企業はよりスリムで、より効率的で、はるかに優れた顧客体験を提供しているからです。
統計がそれを物語っています。BCGのアナリストによると、先進的なデジタル技術と独自のデータを統合して顧客にパーソナライズされた体験を提供しているブランドは6〜10%の収益増を達成しています。この数字はそうでないブランドに比べて2~3倍に至ります。
プロダクトチームは、データサイロを解消するためのソリューションを構築することで、これを促進させることができます。アドビによると、データサイロは、37%の企業が、顧客を包括的に把握するための最大の障壁として挙げています。すべての重要なデータを一箇所に集める分析プラットフォームを構築することで小売企業は今日の顧客が求める優れた体験を提供することができ、その結果、収益を大幅に改善することができます。
Pet Familyグループの一員である英国の小売企業Pet Corner社はこの点で優れた成果を上げています。成長と発展のための野心的な計画を持っていたPet Familyは迅速な行動、必要に応じた予算とリソースの割り当て、ビジネスのための最適な意思決定の継続を確実に行う必要がありました。
YourDMSとTruthは、Sisense BIプラットフォームを導入し、Pet Familyのオペレーション全体を監視できるようにしました。その結果、ユーザーは数週間ではなく、数時間以内にデータから得られたインサイトに基づいて行動できるようになりました。Sisenseは、ユーザーフレンドリーなセルフサービスのダッシュボードにより、ビジネス全体のデータへのアクセスを改善しました。
これにより、Pet Familyとサプライヤーの両方が適切な量の在庫を発注できるようになり、コスト削減、効率的な運営、過剰在庫(商品が棚に残ってしまう)や不足在庫(顧客を失望させる)の回避が可能になりました。
最後に、Sisneseは製品チームにとって小売企業の業務のほぼすべての側面に革命をもたらす素晴らしい好機となります。
"すべての小売企業は、よりシンプルな分析ツールを待ち望んでいますが、市場で結果を残しているプレイヤーは特に、取引以外のデータを分析可能なものに変換するためのツールに注目しています"とブライアンは推測します。
また、AI分析から得られた知見を、モバイル機器を介して経営者や業務管理者が利用できるようにすること、つまり、意思決定者に実用的な情報を届けることにも大きな関心を寄せていると付け加えました。ブライアンは次のように述べています。"これはスマートな戦略です。アジリティ の課題を解決するためには、影響を与えるポイントに最も近いところでのマネジメントを強化しなければなりません。”
そして、ブライアンは製品チームに最後のアドバイスをしました。"伝統的なビジネスアナリティクスを忘れてはいけない”と。
"AIアナリティクスは、従来のアナリティクスやレポーティングに取って代わるものではなく、AIアナリティクスは付加的なものなのです!”と。
平均的な企業や業績不振の企業の中には、業務システムから集めたデータの従来の分析を過小評価しているところが意外と多いのです。今の時代、それは良くありません。RSRがBIと分析を研究してきた結果、小売業の勝者は一貫してこれらの分析の価値をより高く評価していることがわかりました。それには理由があります。これらの分析は、成功の基本となる豊富なインサイトを提供しているからです。製品チームはこの事実を見失ってはいけません。
※本記事は、「How Infusing Insights from AI Is Evolving Retail」を翻訳・加筆修正したものです。